肛門外科
肛門外科は、おしりや肛門周りに違和感や症状がある患者様を対象にした診療科です。
当院の肛門外科診療の多くは痔でお悩みの患者様が対象ですが、痔の種類は痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)があります。
日本人の3人に1人ほどが痔に罹患しており、実は珍しい病気ではありません。
多くの方は発症部位がデリケートなため、受診されないケースが多いです。
しかし、痔と自己判断される中で直腸がんや肛門管がんといった重篤な病気が隠れていることも稀ではありません。
早期発見・早期治療が大切なので、出血・痛みなどの症状を認めれば恥ずかしがらず、速やかにご受診してください。
むらやまクリニックの肛門科診療と痔治療
むらやまクリニックは、京都市中京区、「烏丸御池駅の2番出口より徒歩すぐ」という通院しやすい立地にあります。
烏丸御池は京都屈指のオフィス街を形成しており、昼夜を問わず多くのビジネスマンやオフィスウーマンが活躍している活気のある地域です。
そのようなオフィスワーカーの皆様は、多くの場合、長時間机に座りっぱなしということも少なくないと思います。
そうしますと肛門に負担がかかり、痔を発症しがちになります。
その他には特に女性に多いのですが、便秘がちで排便時に強くいきんだりしますと痔を発症しやすくなります。
さらにはゴルフの際のいきみや刺激物、アルコールの過剰摂取、冷えなどが原因で痔を発症してしまうことがあります。
痔はある意味で生活習慣病だと言えます。
そこで痔だからといって恥ずかしがらずに、院長が「日本大腸肛門病学会専門医」のむらやまクリニックにお気軽にご相談ください。
肛門外科でよく見受けられる疾患
痔核
一般的にはいぼ痔と呼ばれている痔核は痔の中でも最も患者数が多い疾患です。
痔核には内痔核と外痔核があり、直腸と肛門の接合部である歯状線よりも口側に生じている場合を内痔核、外側にある場合を外痔核と言います。
これは肛門を閉じるのに必要とされる組織(アナルクッション)が加齢や排便によって減弱、あるいは肛門付近の血流が悪くなることで鬱血が進行し肥大化、それがこぶのように膨らむことで生じます。
なお、痔核が発症しやすい原因としては、良好でない排便習慣(下痢、便秘)、刺激物やアルコールを好む食生活などが挙げられます。
内痔核の治療
内痔核には保存療法(生活習慣の改善(規則的な排便習慣や高繊維食を積極的にとる食事療法 など)や座薬や軟膏といった薬物療法)と手術療法(結紮切除術)のほか、硬化療法(ジオン注射硬化療法)やゴム輪結紮(けっさつ)法があります。
当院では、ALTA注射療法を中心に日帰り手術を施行しております。
- 保存療法
- まず規則正しい排便習慣(便秘の改善、排便時の長時間のいきみを避ける など)をつけるようにします。症状によって経口薬や注入軟膏・坐薬を用います。このほか浴槽に浸かって患部を温めるのも有効です。
- 硬化療法
パオスクレー(フェノール入りのアーモンドオイル)という薬液を内痔核に注射することで、静脈叢を硬くする治療法です。出血を止める効果が期待できます。硬化療法には、種類がいくつかありますが、一般的なのはジオン注射硬化療法(ALTA)です。
ジオン注射硬化療法(ALTA)
硬化療法の中でも比較的新しい治療法で、脱肛した内痔核に対してジオン注という注射を患部とその周囲に注入し(1つの痔核に対して4ヵ所から注射を打つ)、痔の栄養血管の血流量を減らしていきます。さらに有効成分によって痔の中の血管も硬くさせ、弛んでしまった直腸粘膜部に癒着・固定させるようにします。この治療法は日帰り治療が可能です。- ゴム輪結紮法
- 内痔核を鉗子(かんし)で摘まんで、その根部を専用の輪ゴムで縛って壊死・脱落させる治療法になります。これは寝たきりの方や高齢者にも適用しやすい治療法になります。
- 手術療法
- 結紮切除術
皮膚を切開し、痔核を含んだ粘膜を切除し、痔核を栄養している血管を縛り、脱出した内痔核を根元から切除します。
外痔核の治療
外痔核の治療は、主に薬物療法になりますが、痛みが強くて大きければ切除するか、血の塊を取り除く必要があります。
裂肛
便秘気味の方が発症しやすいとされ、一般的には切れ痔と呼ばれています。
これは、主に便秘や下痢が原因で肛門上皮が切れることで、排便時に出血や痛みが現れるほか、排便後も痛みが持続するようになります。
この裂肛は2つのタイプに分類されます。
ひとつは急性裂肛で、これは排便時に出血や痛みが生じるものですが、傷自体は浅く、症状は数日で回復していきます。
もうひとつは慢性裂肛です。
これは裂肛を繰り返すことで傷が深くなり、やがて潰瘍になってしまうというもので、痛みが持続し、傷の内側には肛門ポリープ、外側には見張りイボを形成することもあります。
治療は、薬物療法による排便のコントロールや外用薬を使用しますが、手術となる可能性もあります。
肛門周囲潰瘍
歯状線にある小さなくぼみ(肛門陰窩)に細菌が入って、肛門腺に感染が起きることで、周囲に膿瘍が形成されている状態が肛門周囲潰瘍です。
症状は肛門部の痛み・発赤や発熱(38℃以上)、しこりなどです。
治療は切開し、膿を出し、抗菌薬を投与します。
痔瘻(あな痔)
肛門周囲膿瘍が自潰もしくは切開排膿したことで、肛門管などに瘻管(トンネルのようなもの)ができている状態を痔瘻と言います。
また瘻管が塞がると痛みや腫れを認めますが、膿が出るようになれば症状はなくなります。
治療は手術療法です。痔瘻の入り口である原発口の切除と感染の原因となった原発巣(肛門腺)の切除と適切なドレナージです。